2013年08月10日

「パシフィック・リム」

 2年前にこの映画の企画を知らせる小さな記事を読んで、「本当に、こんな内容のハリウッド大作が製作されるのか!?」と半信半疑だったものの、その後、続々と「本当に作っているらしい」との情報を得て、この夏の封切りを楽しみにしていた「パシフィック・リム」が遂に公開された。

 封切り日の初回に並ぶのが、こんな日本の特撮映画ファンのための作品を大まじめに作ってくれたギレルモ・デル・トロ監督への礼儀かと思ったが、9日(金)は仕事でさすがに断念。ようやく土曜日の午後から時間が空いたので、クルマを飛ばしてエミフルMASAKIのシネマサンシャインまで行ってきた。

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 ギレルモ・デル・トロ監督が来日したり、芦田愛菜ちゃんの出演シーンが紹介されたり、それなりに番宣があったので、ご存じの方も多いと思うが、一言で言うと「全長100mを超える怪獣と、人類が製造した巨大ロボットが戦う映画」である。なんの変化球もなく、70〜80年代の日本の特撮映画のテイストを大真面目にハリウッド大作のセオリーに乗っけた映画と言えばいいのか?

 事前に様々な雑誌からプラスとマイナスの評価を耳に入れつつ観に行ったが、いろいろと感じるところがあったので、ちょっと長いが感想を箇条書きにしてみた。↓

・登場する怪獣は「monster」ではなく「kaijuu」と発音される
・2013年に怪獣が現れるようになってから2020年の現在までを5分程度で見せるアバンは、内容が濃くて一気にこの世界への導入を果たした感じ
・怪獣は日本風のデザインではなくて、「クローバーフィールド」にも強調するマッチョなデザインで、体色も地味で、やっぱりアメリカ風
・日本の怪獣は「神」または「自然の怒りの体現」だが、この映画ではやはり「モンスター」に過ぎない
・乗り込むロボットはクラシックなデザインの割に動きは速い。ただし、登場シーンで見得を切らない等、日本のロボットアニメのセオリーには沿っていない感じ。(「トランスフォーマー」が決して「ガンダム」の実写版にならないのと同様)
・そういう意味では、「日本の特撮アニメへの造詣が深い」ギレルモ・デル・トロ監督の作品って事で、東宝的・東映的な特撮映画を期待していたが、そこら辺の要素を換骨奪胎してハリウッドのテイストで仕上げた作品だと言える。それはそれで、アリだと思う
・思っていたほど綾波風ではなくて、アジアンビューティーな菊地凛子は、鋭い目つきとか存在感があった
・英語のセリフの中に、「マイコ、少し抑えて」とか、「まだ(戦う方法は)ある!」等の日本語が混じるのは面白かった
・特に、非公開中との空中戦で、「これは!家族の分!」の日本語のセリフと共にソードをふるって怪獣を両断するシーンなどは、日本のアニメ風の構図で燃えた
・菊地凛子の幼少時代を演じたのは、芦田愛。ハリウッド大作のスケール感に負けない芦田プロの存在感はさすが
・大スケールのハリウッド映画の中でも遜色ない芦田プロの演技
・頼りないようで役に立つ、典型的マッドサイエンティスト風の科学者2人が面白かった
・kaijuuの住む異世界のビジュアルはSF的で良かった
・過去のトラウマによる挫折と克服、対立と和解、、司令官の演説、「最後の決戦」、苦境の中で味方の自己犠牲による逆転、大円団、そして…。とハリウッド大作のセオリーに沿った作りであるが、たとえば「インディペンデンスデイ」なんかに比べると遙かにまじめに作っている印象
・ロシアと中国のロボも個性的で存在感があったが、パイロットの登場シーンが少なかったのが残念
・CGのアラ(非現実っぽさ)が見えるのを嫌ったのか、ほとんどの特撮シーンが夜間だったのは、ちょっと残念。多少作り物っぽさが出ても、太陽の下で格闘する怪獣とロボットのシーンが観たかった

 「日本の特撮映画を換骨奪胎したハリウッド映画」と書いたが、それでも、充分に日本の「怪獣映画」に対するギレルモ・デル・トロ監督の愛を感じたし、なんの原作もない状態で、ここまでの密度でまとまったストーリーを作り上げたのは大した構成力だと思う。

 私が観たのは字幕版で、上にも書いたように日本語のセリフも聞けて良かったが、池田秀一さんや、林原めぐみ、千葉繁に古谷徹、玄田哲章が声をあてた吹き替え版も観てみたい気がする。

 ともかく、特撮とかロボットアニメに対して、ある程度の思い入れがある方には、絶対にお薦めできる映画である。こんな作品に出会えて、幸せな時間を過ごさせていただきました。
posted by utsuno at 19:21| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー