「転々」
公開年:2007年
監督:三木聡
出演:オダギリジョ-、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松了、ふせえり、麻生久美子孤独な大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)は、借金84万円を返すアテもないまま返済期限を迎えようとしていた。そんな文哉の前に現われた借金取りの男、福原(三浦友和)は、文哉に奇妙な提案を持ちかける。それは、吉祥寺から霞ヶ関まで歩く福原の“東京散歩”に付き合えば、借金をチャラにしてくれるばかりか、100万円までくれるというもの 「時効警察」の三木聡監督作品で、主演がオダギリジョー。
オダギリジョーは、「時効警察」の霧山君と同系列の頼りない変人というキャラクター。そんなオダジョーが、初老のヤクザの三浦友和の提案に乗り、吉祥寺から霞ヶ関まで歩くロードムービー。
東京を舞台にしたロードムービーは珍しいかも。
二人のやりとりに加えて、岩松了とか「ふせえり」の「時効警察」の課長と署員みたいな会話をはさみつつ、独特の雰囲気で話が進む。
ラストで、三浦友和が予告通りに自首して終わり。特に動きのない映画だが、ストーリーの内容よりも小ネタとかちょっとしたギャグの「三木聡の世界」を楽しむのが正しい見方の映画なんだろう。
「時効警察」の三日月君の役で麻生久美子がワンシーンだけ出ている。
「小さな命が呼ぶとき」
公開年:2010年
監督:トム・ヴォーン
出演:ハリソン・フォード、ブレンダン・フレイザージョン・クラウリー(ブレンダン・フレイザー)の子供は、長くても9年しか生きられないとされる難病“ポンペ病”に冒されていた。ジョンは、ポンペ病研究の第一人者、ロバート・ストーンヒル博士(ハリソン・フォード)のもとを訪ね、協力を申し出る。そして、勤めていた会社を辞め、ビジネスマンとしての才覚を総動員して資金集めに奔走、ストーンヒルの研究環境の整備に邁進するジョンだったが…。 難病に冒された我が子を救いたい一心で、自ら新薬開発のベンチャー企業を興したビジネスマンの実話の映画化。
「難病もの」だが、親子の愛情のみにスポットを当てるのではなく、仕事を捨てて新薬開発のベンチャー企業を立ち上げる父親と、変人の研究者の協力・挫折に焦点を当てている。
ハリソン・フォードは、やっぱり「ハリソン・フォード」の演技。吹き替えもいつもの磯部勉さん。
アメリカらしいビジネスライクな部分もありつつ、ラスト前に主人公が共同経営者から「君はクビだ。だから、治験対象として選ばれても利益相反行為にはならない」という人情話のシーンにホロリとさせられた。
「たとえ世界が終わっても」
公開年:2007年
監督:野口照夫
出演:芦名星、安田顕、大森南朋余命数年と宣告され、自暴自棄になった真奈美(芦名星)は、インターネットの自殺サイトで集団自殺を決意する。しかし、集まったメンバーは実行を目前に好き勝手なことを始めてしまい、結局自殺できないまま夜明けを迎える。その後、サイトの管理人・妙田(大森南朋)から、“ある人を助けてくれたら、苦しまずに死ねる薬をあげます”と奇妙な提案を受ける。 モデル出身で見た目は完璧なクールビューティの芦名星の初主演映画。
やや固い演技ながら、自殺サイトの管理人である大森南朋に振り回される自殺志望者を好演していた。
自殺サイトという救いのない題材だが、芦名星が安田顕の婚約者として振る舞うことを頼まれ相手の実家を訪れるあたりから、じょじょに見せるようになった笑顔に癒やされる。
最終的に、芦名星が生きる気力を取り戻したのは、全て管理人の大森南朋の「仕掛け」だったのか?良くわからない部分もあるが、芦名星の女優としての魅力が良くわかる映画だった。
「サッド ヴァケイション」
公開年:2007年
監督:青山真治
出演:浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏、中村嘉葎雄、オダギリジョー、光石研北九州の小さな運送会社を舞台に、そこに暮らす男女の人間模様と、偶然の再会を果たした母と息子の愛憎の行方 「青山真治監督が、『Helpless』『EUREKA ユリイカ』に続く“北九州サーガ”の集大成」らしい。
今見ると(多分当時でも)なかなかの豪華キャストの群像劇だが、ストーリー(時系列がバラバラ?)・演出(重要なシーンが描かれていない)・セリフ(聞き取れない)の全てがわかりにくくて、全く活かされていない。
これが芸術だというのなら、私はお付き合いできません。
「七瀬ふたたび」
公開年:2010年
監督:小中和哉
出演:芦名星、前田愛、ダンテ・カーヴァー、佐藤江梨子、吉田栄作他人の心が読めてしまう超能力者の七瀬(芦名星)は、同じくテレパスの少年ノリオとテレキネシスを持つ黒人青年ヘンリー(ダンテ・カーヴァー)と北海道の湖畔の家に暮らしていた。ある時、彼らの命を狙う謎の組織の存在が明らかとなる 原作は言わずとしれた3部作でこれまで何度もドラマ化されてきたが、「超能力お手伝いさん」の七瀬が様々な家族に出会う「家族八景」を(または、それと「七瀬ふたたび」を続けて)映像化した物が多かった。そんな中で、この映画は非常に珍しい「『七瀬ふたたび』だけを」映像化した作品である。
筒井康隆の「七瀬三部作」は、それぞれの作品が別のジャンルと言えるぐらいに違っているが、「超能力戦争」の『七瀬ふたたび』よりも「超能力版『家政婦は見た!』」の「家族八景」の方が連ドラになりやすい構成になっている。
個人的には、「七瀬ふたたび」の緊迫感が好きだった。
ストーリー的には、「七瀬ふたたび」を非常に忠実に映画がしている。そのため、映画化されているわけではない前作の「家族八景」を読んでいないと、いきなり列車事故に遭う冒頭のシーンからついて行けないというある意味不親切な映画である。
予知能力を持った男の子が、七瀬に最初にあった時にエロい想像をしてしまい、それを恥じて七瀬と(お互いに恋心を持ってるのに)会うのを避けるようになった心理描写が個人的に好きだったが、この部分もすっぱり飛ばしているので、「なんでこの男は、七瀬に会いたがらないのか?」も、原作を読んでいないとわからない。
逆に言うと、そういう予備知識を持った読者(観客)に向けて作られた映画なんだろう。
そういう目で観ると、筒井先生が「これまでで最もイメージ通り」といった芦名星の七瀬も、テレキネシスを使う「優しい巨人」であるダンテ・カーヴァーも、原作のイメージを非常に良く再現しており、人気小説の映像化としては、一つのお手本みたいな映画だとは思う。
特撮なんかは、低予算だったのかちょっとちゃちな部分はあるが、ちょっと前に深夜ドラマでやっていた七瀬よりは、はるかにイメージ通りの七瀬でもあり、原作のファンは是非とも観ておくべき映画だと思う。